イボ・水イボ
イボとは
「イボ」は「たこ」や「魚の目」と見た目が似ているため間違えられがちですが、実は全く異なるもので、イボはウイルス性であることが特徴です。
イボは表面がガサついて硬くなり、たこや魚の目のように皮紋という模様はありません。
イボの原因と主な症状
イボができる原因は大きく2種類に分かれます。
ウイルス感染によるイボ
【原因】
「ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス/HPV)」と呼ばれるウイルスが代表的ですが、そういったウイルスが小さい傷口から感染することで起こります。ヒトパピローマウイルスには多くの種類があり、感染したウイルスの種類によって症状や現れる部位が異なります。
【症状】
手や足の指に、数mmから1cm程度の小さなザラザラした隆起ができます。痛みなどの自覚症状がないですが、放置すると数が増えてしまい、治るまでに時間がかかってしまいます。特に足の裏は、いぼに体重がかかって皮膚に深く食い込んでしまい、悪化することがあります。
加齢や紫外線によるイボ
【原因】
長年の紫外線による影響、加齢による皮膚の老化などが原因で起こるといわれています。加齢に伴い、新陳代謝が低下し、メラニンの排泄がうまくいかなくなることで発症します。
良性腫瘍のため、放置しても悪性化する恐れはありません。
【症状】
全身どこにでもできる可能性がありますが、特に日光が当たる頭や顔に多く見られます。
色の濃さは様々で、皮膚と同じような色のものから黒色や茶色のものまであります。大きさは数mmから3cmくらいで、表面がザラザラしているのが特徴です。かゆみを伴う炎症を起こすことがあります。
イボと間違われやすい皮膚がん
イボは基本的に良性であることがほとんどですが、以下の症状があれば、有棘(ゆうきょく)細胞がんといわれる皮膚がんの可能性も否定できません。イボと似た症状のため、間違われることがあります。
- 高齢者の顔や手の甲など紫外線を浴びやすい場所にできている
- 火傷の痕にできている
- 表面がじゅくじゅくしていたり、かさぶたになっていたりする
- 進行すると悪臭を伴う
イボの治療方法
液体窒素
最も一般的な治療法です。
液体窒素で冷やした綿棒を、イボに数秒間押しつけて凍結させます。液体窒素は、とても冷たいので、痛みを伴います。また、1回の治療で治ることは難しく、1〜2週間ごとに続ける必要があります。再発しやすいため、根を完全に取り除く必要があります。
その他
レーザー治療、電気メスでイボを焼く電気焼灼法、内服薬、塗り薬などもあります。
ウイルスの種類や感染した場所により、適した治療法を行うことが大切です。
水イボとは ―イボとの違い―
イボがヒト乳頭腫ウイルスの感染が原因であるのに対して、水イボは伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)ウイルスといわれる別のウイルスが原因となります。
水イボは、表面がつるつるしていて、1mmから5mmほどの大きさです。また、中央部が少し窪んでいるのが特徴的です。イボの場合は、表面がガサガサして硬くなっていることが多いので、見た目でも判断ができます。
イボが手足にできることが多いのに対して、水イボは身体にできることが多いといった点も異なります。
水イボの原因と主な症状
【原因】
小さな傷口などからウイルスが侵入することで発症します。ウイルス感染のため、接触により感染が広がり、特にプールや公衆浴場における接触感染が多いといわれています。伝染力が強く、直接患部に触れていなくても、タオルや衣類などを介して感染するケースがあります。特に、お子さんに見られることの多い病気で、乾燥肌やアトピー性皮膚炎の方に感染しやすい傾向があります。
【症状】
多くの場合は1mmから3mm程度の小さい光沢のあるイボができます。自覚症状のない場合がほとんどですが、軽度にかゆみがあるため、かいてしまうことで、周辺の皮膚に飛び火することもあります。
水イボの治療方法
基本的に1年以内に自然治癒することが多いとされています。
ただし、化膿したり、アトピー性皮膚炎やその他の基礎疾患があったりする場合などには、まれに全身に広がることもあります。プールでは、ビート板や浮き輪を介して感染してしまうこともあるので、早く治したいときには、皮膚科で治療することをおすすめします。
ウイルスの芯を除去
最も一般的な治療法で、専用のピンセットを使用してウイルスの芯を除去します。
液体窒素
イボと同じように冷凍凝固療法を行うこともあります。
その他
投薬療法(ヨクイニンの服用)など
ご注意いただきたいこと
「イボ」も「水イボ」もウイルスによる疾患です。患部を触ったり、かいたりしてイボをつぶしてしまい、感染が拡がってしまいます。なるべくつぶさないように注意しましょう。
特に水イボは、感染力が強いため、他の人にうつらないよう、
<1>家族ともタオルや衣類は共有しない
<2>プールや公衆浴場は避ける
などの配慮が必要です。